NKT細胞療法
ヒトの血液細胞は大きく分けて赤血球、血小板、そして、感染症に対して立ち向かい、更には、がんという悪性の細胞と戦う白血球の3種類の細胞からなり、それらは全身の骨の中(骨髄)で産生されています。
NKT細胞は、その白血球の内の5種類のリンパ球(Tリンパ球、NK細胞、ガンマデルタT細胞、NKT細胞、B細胞)の一つであり、体内でがんを攻撃中のTリンパ球、NK細胞の力をインターフェロンγを介して活性化することで、がんに対する強い攻撃力(免疫力)を産み出すと言われています。
当クリニックは、長年に渉って多くの大学、研究所などで研究開発が進められて来たNKT細胞療法を、がんに対する治療法として新たに選択しました。
この療法は海綿から抽出されたalpha-galactocylceramideという特殊な分子を抱えたDC(樹状細胞)を患者さんの体内へ投与することで、がん組織内のNKT細胞を活性化し、Tリンパ球やNK細胞が持つがんへの攻撃力の増強を期待する免疫細胞療法です。
NKT細胞療法の流れ
- DC(樹状細胞)の素となる単球を成分採血(アフェレーシス)もしくは通常採血のいずれかの方法で患者さんの体内から採取します。
- 採取した単球とalpha-galactocylceramideを共に培養することで作成されたalpha-galactocylceramide-DC(樹状細胞)を、体内へ投与します。
- alpha-galactocylceramide-DC(樹状細胞)はがん組織内でNKT細胞を選択的に活性化し、それによってNKTから大量に産生されたインターフェロンγが、がん細胞を攻撃中のTリンパ球、NK細胞をより活性化し、それらの攻撃力を強化します。
また、多くのがん細胞を一時で死に至らせ、がん局部に熱感、痛み、そして全身に発熱(腫瘍熱)が生じる場合があり、この療法の効果を示すと言えます。