症例報告 ―進行性胃がん

当クリニックでの症例報告 ―進行性胃がん

高齢の進行性胃癌で抗がん剤と免疫療法を併用し、転移巣の縮小、全身状態が順調な経過を送って抗がん剤を続けている症例

患者さま:
79歳 女性
診断名:
進行性胃がんステージⅣ
免疫療法:
活性化Tリンパ球療法NK細胞療法
標準治療との併用:
抗がん剤治療
免疫療法開始時期:
2013年4月
症例報告時期:
2013年9月現在
担当医師:
神戸ハーバーランド免疫療法クリニック 横川 潔

 

治療内容と経過

治療までの経緯|2012年12月末から上腹部痛があり、近医から専門医紹介され、翌2013年2月に進行性胃癌の診断。貧血に対して輸血施行されている。リンパ節、肝臓への転移が指摘されていたが、胃癌による幽門狭窄があり、同年3月に幽門側胃切除、併せて胆のう摘出術が施行された。4月上旬より術後化学療法としてTS-1内服とCDDP(シスプラチン)が開始され、併せての免疫療法希望してを当院受診された。

2013年2月 進行性胃幽門部原発癌、多発リンパ節転移、肝転移診断。
2013年3月中旬 幽門側胃切除、胆のう摘出術
2013年4月上旬 TS-1 CDDP開始
2013年4月下旬 神戸ハーバーランド免疫療法クリニック初診
2013年5月下旬 活性化Tリンパ球療法開始(2週間毎に計4回投与)
2013年7月上旬 NK細胞療法開始(2週間毎に計4回投与)
2013年9月上旬 NK細胞療法 4週間に1回投与で継続中 TS-1 CDDPは5クール目が終了。

 

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CT上では胃周辺から傍大動脈のリンパ節転移、左鎖骨上リンパ節転移はそれぞれが縮小傾向。

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免疫検査結果では各免疫細胞の大幅な改善あり。基準値内でバランスのとれた形へ変化。

手術後、抗がん剤開始。高齢であり免疫機能の低下と副作用の不安もあり、1サイクル後から活性化Tリンパ球療法を開始した。当初は抗がん剤投与後の倦怠感も強かったが、活性化Tリンパ球療法、NK細胞療法の投与開始に伴い抗がん剤後の倦怠感も軽減し。食欲の低下や血液上の異常認めず他大きな副作用なく経過し、現在もTS-1、CDDPを続行している。

患者さまより

患者さまご本人より以下のお言葉をいただきました。
“高齢であることから抗がん剤による副作用も心配していたが、免疫療法を始めてから元気になったと周囲に言われます。NK細胞投与後は、買い物や移動をしても疲れにくくなっていることには驚きました。美術館にいったり、買い物したり、まだまだ楽しみができました。”

担当医師から

本年4月上旬から抗がん剤(TS-1,CDDP)が開始され、5月上旬から活性化Tリンパ球療法を追加し、7月上旬のCT検査で左鎖骨上リンパ説転移が明らかに縮小しPRと診断される。
9月現在で良好な全身状態を自覚されており、加えて8月の免疫機能検査でTリンパ球、NK細胞数、NK活性の大幅な改善が確認される。
80歳という高齢にもかかわらず、抗がん剤に免疫療法を併せることで極めて順調な経過をたどっておられ、進行胃癌ながら長期の延命が期待できる。